【活動報告】ZERO INCIDENT PROJECT 記念すべき第1回!
ZERO INCIDENT。
記念すべき第一回が、無事に終わった。
目次
まず最初に

参加してくださった皆さん、本当にありがとうございました。
そして石川弘樹さん、松本圭司さん、デジタスさん。
取材に来てくださったランプラストレイルさん、事前から色々お世話になったLIKE THE WINDさん、心から感謝しています。
ここまで来るのは、正直簡単ではなかった。
構想の段階からずっと頭の中にあって、誰に声をかけるか、どんな形でやるか、どこまで伝えられるか、何度も何度も考えてきた。
昨年の遭難事故の捜索を機に連絡を取り合うようになった石川弘樹さん。
何日も何時間も一緒に歩いてたくさんの話をした。弘樹さんはプロのトレイルランナー、同じように自分は山岳救助・救急のプロだ。そんな立場で何度も話をした。
イベントの構想を伝えてから一緒にやらせていただく流れになってからは、
ありがたい気持ちと同時に、変なプレッシャーもあった。
絶対にこけるようなイベントにしちゃいけない。

弘樹さんは自分にとっては頼れるアニキだ。最近はいつも毎日?のように、連絡を取り合うように。
誰にも心を開かない?自分が珍しく??心から信頼を寄せているのが弘樹さんである。
第1回で「何だったんだあれ」と思われるようなものだけはやってはいけない。
そんなふうに、自分で勝手に肩に力が入っていたと思う。
「こけるわけないでしょ」「これからこういうことが絶対必要なんだよ」
そんな中で弘樹さんは、何度もそう言ってくれた。

その言葉に、何度救われたかわからない。
実際、何度も何度も話し合ったし、前日も下見で山に入った。
そこまでやって、ようやく当日を迎えた。
もちろん、全部が気持ちよく進んだわけではない。
連絡もなく来なかった方もいた。
でも、いろいろな人がいる。そこはもう仕方ない。
そう思って切り替えるしかなかった。

ただ、実際に来てくださった皆さんの空気が、本当に良かった。
それだけで、「やってよかったな」と思えた。
それぞれ違う立場で、それぞれ本気で話した
午前中は、石川弘樹さんの話から始まった。
弘樹さんがこれまで実際に見てきたこと、感じてきたこと、
走ってきたからこそわかるトレイルの危うさと、それでも山に入る人に伝えたい安全意識。
言葉に無理がなくて、でも芯がある。やっぱり弘樹さんにしかできない話だったと思う。

そして松本圭司さん。言わずと知れたジオグラフィカの開発者だ。
そして同じ東京都山岳連盟の先輩でもある。
地形図からリスクを読む。
危なそうな場所を感覚ではなく、地形としてどう捉えるか。
あの話は、普段なんとなく山に入っている人にとってはかなり大きかったと思う。
見えている景色の裏側に、ちゃんと地形の理由がある。そこを言葉にしてくれた。

そして私は、また違う立場で話をした。
自分は、速く走れるわけでもない。
地図の世界を理論で語る人間でもない。
ただ、事故の現場にいて、目の前で人が亡くなるところを見てきた。
助けたくても助けきれなかった現場を、たくさん見てきた。

人が亡くなるというのは、きれいごとじゃない。
山は楽しい。でも、間違えれば本当に人が死ぬ。
その境目みたいなものを、自分なりに伝えたかった。
安全とは?危険とは?
リスクとハザードはどう違うの?
自分の話は少し重かったかもしれない。
でも、それが自分の持っている現実だし、そこをごまかして話す意味はないと思った。
3人とも、立っている場所は全然違う。
でも、話している先は同じだったと思う。
事故を減らしたい。無事に帰ってほしい。
その一点だけは、完全に一致していた。
参加してくださった皆さんが、食い入るように聞いてくれていたのが本当に印象的だった。
自分の店のお客さんに伝えたい。
チームの仲間に持ち帰りたい。
クライアントに返したい。
そんな思いがすごく伝わってきた。
ああいう空気は、こちらが作ろうと思っても作れるものじゃない。
来てくださった皆さんの本気が、あの場を作ってくれたんだと思う。
午後は山に入り、無線を持ち、位置を共有した
午後は、このイベントのためだけに仙台からデジタスさんが来てくれた。本当にありがたかった。

デジタスさんは東北で起こった災害時に多くの場面で「通信」をバックアップしてきたいわば縁の下の力持ちだ。
最近では昨年の大船渡の火災の無線構築・今は仙台消防局や私の古巣・東京消防庁などとも連携し「いざ」という時の通信の構築をしている。
自分はデジタスさんと提携という立場なのか?協賛してもらっている立場なのか?
色々迷っているが「パートナーシップ」って感じが一番合っていると思う。
自分が「こうしたい」「こうなったら安全なのに」を目に見える形で提案して、そのアイテムを現実に用意してくれる、自分にはなくてはならない「無線通信」を全面的にバックアップしてくれている。

無線の説明をしていただき、参加者全員が実際に無線を持って山に入る。
通信しながら歩く。誰がどこにいて、どう動いているかを共有する。
流れてくる声を聞きながら、自分一人ではなく“全体の中にいる”という感覚を持つ。
これって、ただ山を歩くだけではなかなか体験できないことだと思う。
しかも今回は、新たにデモ機として貸していただいた「EVOLVE」があった。
これによって参加者全員の位置がリアルタイムでわかる。
それが本拠地である山小屋側でも共有されている。
現場だけではなく、ベースともつながった状態で山に入れるというのは、かなり大きかった。
今回の実地で行ったこと
- 参加者全員が無線を携行して山に入る
- 通信しながら行動し、状況共有を体験する
- 「EVOLVE」で位置情報をリアルタイム共有する
- 過去に事故や道迷いがあったルートを実際に歩く
- 地形図と現地の地形を照らし合わせながら学ぶ
午後に歩いたのは、過去に事故や道迷いがあったルート。
派手なイベントではない。
でも、自分はむしろそこに意味があると思っている。

ここで何が起きたのか。
なぜ迷ったのか。
どうしてその方向に行ってしまったのか。
この地形で、どんな判断が狂いやすいのか。

午前中に学んだ松本圭司さんの高低傾斜地強調図も見ながら、現地を実際に歩いてみる。
頭の中の地図と、目の前の山をつなげていく。
その中で、自分からはこの山域で実際に山岳救助をしてきた立場から、
事故があった場所や迷いやすいポイントを話した。

弘樹さんからは、迷わせないための工夫や、怪我をさせないためにどう見るかという話が出た。
プロトレイルランナーの目。
地図を読む人の目。
そして、救助現場を見てきた人間の目。
それが入れ替わりながら一つの山を見ていく時間は、かなり濃かったと思う。
実際には、3〜40分歩く程度の内容だった。
体力的に追い込むようなものではない。でも、だからこそよかった。
たったそれくらいの距離の中にも、事故の入口はいくらでもある。
人は、いきなり大崩壊みたいな場所でだけミスをするわけじゃない。
「なんとなくこっちかな」
「少しだけなら行けるかな」
「戻るのも面倒だな」
そういう小さなズレの積み重ねで、道を外していく。
その“事故の始まり方”みたいなものを、参加者のみんなで共有できたのはすごく大きかったと思う。
安全は地味だけど、絶対に必要だと思っている
今回は、ランプラストレイルさんやLIKE THE WINDさんにも取材に入っていただいた。
安全の取り組みって、どうしても地味だ。
レースの結果みたいに華やかじゃない。
誰かの記録みたいに目立つわけでもない。
でも、自分はずっと思っている。
こういう地味な積み重ねこそが、一番大事なんじゃないかと。
事故が起きなかった。無事に終わった。
それって一見、何もなかったように見える。
でも、その“何もなかった”を作るために、どれだけの準備と視点と積み重ねが必要か。
そこにもっと光が当たってほしいと思っている。
安全を学ぶって、堅苦しいことじゃない。
楽しむために必要なこと。
長く山にいるために必要なことだと思う。
今回の取り組みが、いろいろな媒体を通して広がっていってくれたらうれしい。
その感覚が、少しずつでも広がっていけばと思う。
来月はZERO INCIDENTワークショップ第一回へ
そして来月は、今度は第一回のZERO INCIDENTワークショップを開催する。
こちらは、今回の内容をもっと噛み砕いて、
もっと参加者に近い形で、自分・松村が中心になって解説していく予定だ。
実際に参加者の皆さんと一緒に山に入り、ひとつずつ確認しながら進めていきたいと思っている。
アドバイザーには、
オリエンティアの方や同年代の女性ランナーの方、遭難したご家族の視点、
そしてタイミングが合えば石川弘樹さんにも入っていただきたいと思っている。
いろいろな立場の視点があることで、「ああ、そういう見方もあるのか」と思える場になるはずだ。

同年代で語る2人、今回かなっちは最初から「ひろきちゃーん」と呼んでいたw
弘樹さんは「ひろきちゃん」って呼ばれたのは初めてだと言ってたw
ヨガイベントを多数こなすかなっちから言われたのが、
参加人数は最大でも10人にして、
「とにかくたくさんお話をして、疑問のまま帰らないようなイベントを目指すべき」
という言葉。
あの人と話せなかった、みたいなことは自分の満足にも繋がらないので
最大でも人数は10名とするし、逆に1人でも開催する。
そして、疑問を残したまま帰らない。そんなイベントにしていきたい。
ジオグラフィカを入れて来てください
今後の講習は、ジオグラフィカを中心に進めていく予定です。
ただ、これがまた説明書が130ページあるw
正直、あれを最初から全部読めと言われたらかなり大変です。笑
とはいえ、ちゃんと使えるようになると、本当に強い。
山に入る人にとっては、かなり頼れる道具です。自分も勉強中なので
ジオグラフィカについては一緒に色々学びましょう。
参加予定の方へ
ワークショップではジオグラフィカを中心に使っていきます。
事前にインストールしてお越しください。ジオグラフィカは無料で使えます。
ワークショップでは、そのあたりもできるだけわかりやすくお伝えしていきます。
参加される方は、ぜひ事前にジオグラフィカをインストールしてお越しください。
第1回を終えて思うこと
ZERO INCIDENTの第1回を終えて、あらためて思った。
やっぱり、こういう場は必要だ。

安全は、「気をつけましょう」で広がるものじゃない。
経験を持った人が集まって、現場を歩いて、見て、話して、考えて、その場で共有する。
そういう時間の中でしか伝わらないことが、確実にある。
参加してくださった皆さん、本当にありがとうございました。
石川弘樹さん、松本圭司さん、デジタスさん、
そして取材に来てくださった皆さんにも感謝しています。
第1回は終わった。
でも、これはゴールじゃなく、
やっとスタートラインに立ったという感覚の方が強い。
遭難したくない、させたくない。
そのために、これからまた一歩ずつやっていこうと思います。

アニキ!!