実績・活動記録

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ZERO INCIDENT WORKSHOP2026.06.30

ZERO INCIDENT 女川版を無事開催!

参加者は7名。少人数だったからこそ、一人ひとりの疑問や不安にじっくり向き合える、濃い一日になりました。

ZERO INCIDENT PROJECTは、「事故が起きてから対応する」のではなく、事故が起きない文化をつくることを目的とした活動です。その地域の山を知り、その地域で活動する人から学び、その地域ならではの危険を理解する。今回の女川版は、まさにその考え方を形にした一日でした。

ご協力いただいたのは、みちのく潮風トレイルを管理する環境省の皆様、地元のネイチャーガイドの先生、林業に携わる方々、地域再生に取り組む方々、そして女川100TRAILSレースディレクターの須賀さん。立場が違うからこそ見えている山の姿があり、多角的に「安全」を考えることができました。

【写真1:女川町まちなか交流館での座学の様子】

午前は座学。「安全」と「危険」を考える

会場は女川駅前の女川町まちなか交流館。約2時間の講義で、安全とは何か、危険とは何か、なぜ遭難は起こるのか、遭難を事故にしないためにどうするか、をお話ししました。

私の消防・山岳救助での経験に加え、ネイチャーガイドの先生からは、実際に三陸で起きた道迷いの事例や、この地域特有の山の特徴を共有していただきました。

スライドの一例

「標高が低い山だから安全」「地元の山だから迷わない」。そんな思い込みこそが事故につながることを、実例を交えて確認しました。

レインウェアは「持っている」ではなく「使える」こと

今回初めて取り入れたのが、レインウェアのワークショップです。参加者それぞれが普段使っているレインウェアに実際に水をかけ、撥水性能を確認しました。

新品の状態。手入れされている状態。長く使って撥水が落ちた状態。その違いを見て、触って体験すると、「雨具は持っているだけでは意味がない」ことが一目で分かります。

持参したレインウェアなど

これから関東では雨のレースも増えます。低体温症は、濡れることから始まります。日頃からレインウェアを手入れし、本来の性能を保つことが、命を守ることに直結します。

午後は石投山へ。歩きながら「遭難の入り口」を学ぶ

午後は、女川100TRAILSのコースにもなっている石投山へ。
往復約4kmの短いコースですが、道迷いにつながる要素が数多く隠れています。

印象的だったのは植生の変化です。一見同じ森でも、土地の所有者によって林業の管理方法が違い、右が針葉樹林、左が広葉樹林、少し歩くとその逆になる。この景色の変化の繰り返しが、「自分がどこを歩いているのか」を分かりにくくします。

【植生、そして素晴らしい眺望の女川・石投山】
山ではどの色が目立つ?「青」?「赤」?極端な色のウェアを着ていきました。

さらに、実際に登山道から少し外れてもらい、「元の道へ戻る難しさ」も体験していただきました。
道を外れると、踏み跡が急に柔らかくなる。
「道かな?」と進むと顔にクモの巣がかかる。足元の感触や空気感が変わる。
必ずどこかに違和感があります。

遭難は突然始まるものではありません。小さな違和感を見逃し続けた先に、事故があります。

「山を歩く技術」だけでなく「山を見る力」を

山頂では、開けた場所ほど方向感覚を失いやすいことや、山の中で見つけやすい色の実験も行いました。帰りは同じ道を戻るピストンでしたが、多くの方が「こんなに景色が違って見えるとは」と驚いていました。下りはスピードが上がる分、道を見落としやすくなります。トレイルランナーが敬遠しがちなピストン練習は、「帰りの景色を知る」意味でも大切なトレーニングです。

【石投山山頂でのRDからのレクチャー】

振り返りでは、環境省の方、ガイドの先生、地元の皆さん、須賀さん、それぞれの立場から一日の学びを共有しました。開発中の「山で困ったときに開くアプリ」もご紹介しました。現在は無料公開中です。使っていただきながら改善を重ね、本当に困ったときに役立つツールへ育てていきます。

次回は11月29日に開催します

東北のランナーは本当に走力が高い。一方で、山そのものを深く学ぶ機会は多くありません。
走力に「山力」が加われば、もっと安全に、もっと長く山を楽しめるはずです。

ZERO INCIDENT PROJECTは、技術を教える講習会ではありません。
山を好きになり、地域を知り、仲間と学びながら、安全文化を育てていく活動です。

次回は11月29日、女川で。事故を起こさない文化を、この地域に根付かせていきます。